更新日:2026年10月31日
先に結論です。
行政書士のホームページには、少なくとも「事務所と先生の情報」「取扱業務」「報酬額(料金)」「ご相談の流れ」「お問い合わせ先」の5つを載せておくと、相談を考えている方が知りたいことはおおむね伝わります。
取扱業務は業務ごとに分けて書き、報酬額は業務ごとの目安を載せるのがおすすめです。行政書士職務基本規則では、ホームページによる広告宣伝について、事実に合わない内容・誤解を招く内容・誇大な内容が禁じられています。細かい決まりは、所属する行政書士会で確認してください。
開業の準備を進めるなかで、ホームページに何を載せればよいのか迷う先生は少なくありません。行政書士の業務は幅が広く、すべてを並べると何の事務所なのかが伝わりにくくなります。一方で、載せる内容には行政書士ならではの決まりもあります。
この記事では、1人で開業した、またはこれから開業する行政書士の先生に向けて、ホームページに必要なページと載せる項目、取扱業務や報酬額の書き方、気をつけたい決まりをまとめました。決まりについては、行政書士法と日本行政書士会連合会の規則の原文で確認できた範囲でご紹介します。
相談の前に依頼者が確かめたいこと
行政書士に相談しようとしている方は、許可の申請や相続の手続きなど、目の前に困りごとを抱えています。問い合わせる前に、ホームページで次のようなことを確かめようとします。
- 自分の手続きを扱っているか:建設業の許可、在留資格、相続、会社の設立など
- 費用はどのくらいか:報酬の目安と、報酬とは別にかかる手数料などの実費
- どんな人が対応するのか:先生の名前、経歴、事務所の場所
- 相談からの進み方:何を準備すればよいか、どのくらいの期間がかかるか
- 連絡のしかた:電話、メール、フォーム、受付時間、面談の方法
この5つにすぐたどり着けるように、ページを分けて、上のメニューから開けるようにしておくのが基本です。
必要なページと載せる項目
開業したばかりの事務所なら、まずは次のページがあれば十分です。取扱業務が多い場合は、業務ごとのページを足していきます。
| ページ | 載せる項目 |
|---|---|
| トップ | 事務所名、主な取扱業務、対応している地域、電話番号と受付時間、各ページへの入口 |
| 事務所案内 | 行政書士の氏名、所属する行政書士会、登録番号、経歴、ごあいさつ、事務所の所在地と地図 |
| 取扱業務 | 扱っている業務の一覧と、業務ごとの説明(対象になる方、手続きの流れ、必要な書類の例、期間の目安) |
| 報酬額(料金) | 業務ごとの報酬の目安、実費の扱い、税込か税別か、支払いの時期 |
| ご相談の流れ | 問い合わせから依頼、完了までの手順、初回の相談の進め方 |
| よくある質問 | 費用、期間、準備するもの、対応地域など、問い合わせの前に気になりやすいこと |
| お問い合わせ | 電話、メール、フォーム、受付時間、返信までの目安 |
| お知らせ | 休業日、受付時間の変更、制度の改正の案内など |
| 個人情報の取り扱い | お問い合わせで受け取った情報の使い道と管理のしかた |

ページを増やすことより、上の項目を抜けなく、分かりやすく書くことのほうが大切です。制作の費用については、税理士事務所のホームページ制作の費用相場と選び方で、料金表をもとにした幅をまとめています。士業の事務所であれば、行政書士の場合も考え方は同じです。
取扱業務の書き方
行政書士が扱える業務は数多くあります。「許認可申請全般」「各種書類の作成」のようにまとめて書くと、相談したい方は自分の手続きが含まれているのか判断できません。
業務ごとに分けて書く
依頼者は「建設業の許可」「在留資格の更新」「遺言書」のように、具体的な手続きの名前で探しています。業務ごとに見出しを立てるか、ページを分けて、それぞれ次の内容を書いておくと伝わりやすくなります。
- どんな方の手続きか:たとえば「これから建設業の許可を取りたい個人事業主の方」
- 行政書士に頼むと何をしてもらえるか:書類の作成、役所との事前の相談、提出の代行など
- 手続きの流れと期間の目安
- 依頼者に準備してもらうもの:書類の例
- 報酬の目安:料金のページへのリンクでもかまいません
力を入れたい業務を先に置く
開業したばかりで扱う業務が広い場合でも、特に力を入れたい業務を一覧の最初に置き、説明を厚くすると、事務所の特徴が伝わります。逆に、まだ受けたことのない業務を「得意」「専門」と書くのは、後で説明する決まりに触れるおそれがあるので避けましょう。
また、行政不服申立ての手続きの代理は、日本行政書士会連合会の研修を修了した「特定行政書士」だけが行える業務です(行政書士法第1条の4第2項)。扱う場合は、特定行政書士であることもあわせて書いておきます。
報酬額(料金)の載せ方と決まり
事務所での掲示は義務、ホームページでの公表は努力
行政書士法第10条の2第1項では、行政書士は事務所の見やすい場所に、業務に関して受ける報酬の額を掲示しなければならないと定められています。行政書士法施行規則第3条第1項では、この掲示は日本行政書士会連合会の定める様式に準じた表で行うものとされています。
そのうえで、日本行政書士会連合会の行政書士職務基本規則第24条第2項では、報酬額表の掲示に加えて、インターネットを利用した方法などにより公表するよう努める、とされています。ホームページに報酬額を載せることは、この規則の考え方にも沿っています。
載せ方のこつ
- 業務ごとに目安を書く:「〇〇円〜」のように最低額だけを書く場合は、金額が上がる条件(書類の量、急ぎの対応など)も添えます
- 報酬と実費を分ける:役所に納める手数料や証明書の取得費用などは、報酬とは別にかかることを書いておきます
- 税込か税別かを書く
- 支払いの時期を書く:着手のときか、完了のときか
報酬額の統計も参考になる
報酬額は、それぞれの行政書士が決めるものです。日本行政書士会連合会は、行政書士法第10条の2第2項にもとづいて報酬額の統計調査を行い、結果を公表しています。たとえば最新の「令和7年度報酬額統計調査の結果」(令和8年1月実施)では、建設業許可申請(法人・新規・知事)の報酬額は次のとおりでした。
| 項目 | 報酬額(消費税込み・立替金は含まず) |
|---|---|
| 回答者数 | 512 |
| 平均 | 151,341円 |
| 最も多い額 | 165,000円 |
| 最小〜最大 | 30,000円〜365,000円 |
※ 出典:日本行政書士会連合会「令和7年度報酬額統計調査の結果」(令和8年1月実施)。同じ業務でも金額に幅があるため、目安を載せるときは、金額が変わる条件もあわせて書くのがおすすめです。
なお、職務基本規則第34条では、事件の受任に際して適正な報酬を明示し、十分に説明しなければならないこと、不当に廉価な報酬で事件を受任してはならないことも定められています。ホームページに書いた金額と、実際の見積もりや契約の内容がずれないようにしておきましょう。
事務所と行政書士本人の情報
事務所案内のページには、相談する方が「この先生に任せて大丈夫か」を判断するための情報を載せます。ここでは、決まりで定められていることと、載せておくと安心につながることを分けて整理します。
| 分け方 | 内容 |
|---|---|
| 決まりで必要 | 事務所について、次のことが定められています。 ・行政書士の事務所であることを明らかにした表札を掲示する(行政書士法施行規則第2条の14第1項) ・見やすい場所に、報酬額を掲示する(行政書士法第10条の2第1項) ・他の法律で使用が制限されている名称や、行政書士の事務所であることについて誤認や混同を生じるおそれのある名称を使わない(行政書士職務基本規則第8条第6項) |
| あると安心 | 行政書士の氏名、所属する行政書士会、登録番号、特定行政書士であればその旨、事務所の所在地と地図、電話番号と受付時間、経歴、ごあいさつ |
今回確認した行政書士法・施行規則・職務基本規則の中では、ホームページに登録番号などを載せることをはっきり義務づけた定めは見当たりませんでした。ただし、所属する行政書士会が独自の定めを置いている場合もあるため、所属会で確認してください。
登録番号と所属会は、載せておくのがおすすめです。日本行政書士会連合会の「行政書士会員検索」では、氏名のほか、登録番号や所属行政書士会からも行政書士を探せるため、相談する方が先生の登録を確かめられます。
顔写真やごあいさつの文章は義務ではありませんが、1人で開業している事務所では、誰が対応するのかが見えることが安心につながります。
お問い合わせの受け方
問い合わせの入口は、相談する方が使いやすいものを複数用意しておくと、取りこぼしを減らせます。
- 電話:受付時間と、出られないときの折り返しの方法を書きます。スマホで見たときに、押すとそのまま電話をかけられるようにしておきます
- メール・フォーム:返信までの目安(「2営業日以内」など)を書きます。フォームの入力項目は、名前・連絡先・相談したい手続き・内容くらいにしぼると、送ってもらいやすくなります
- 面談の方法:事務所での面談、出張、オンラインのどれに対応しているかを書きます
- 相談料:初回の相談が無料か有料か、時間の目安を書きます
フォームで名前や連絡先を受け取る以上、その情報をどう扱うかを「個人情報の取り扱い」のページで示しておくと安心です。また、行政書士法第12条では、業務上取り扱った事項について知り得た秘密を、正当な理由なく漏らしてはならないと定められています。問い合わせの内容を守ることを書き添えておくのもよいでしょう。
避けたい書き方
職務基本規則で禁じられている広告宣伝
日本行政書士会連合会の行政書士職務基本規則第17条では、広告宣伝にホームページやSNSによるものが含まれることを明記したうえで、次のような広告宣伝を禁じています。
- 不当な目的を意図した、または品位を損なうおそれのある広告宣伝
- 事実に合致しない内容の広告宣伝
- 誤認または誤導のおそれのある内容の広告宣伝
- 誇大な広告宣伝
注意したい書き方の例
上の定めに照らして、ホームページでは次のような書き方に注意が必要です。
| 書き方の例 | 注意したい理由 |
|---|---|
| 「必ず許可が取れます」「100%通ります」 | 許可を出すのは役所です。結果を約束する書き方は、誤解を招くおそれがあります |
| 根拠のない「地域No.1」「実績多数」 | 事実に合わない、または大げさな内容になるおそれがあります |
| 扱ったことのない業務を「専門」「得意」とする | 事実に合わない内容になるおそれがあります |
| 他の行政書士や事務所を悪く言う | 職務基本規則第20条で、他の行政書士などを誹謗中傷するなど、信義に反する行為が禁じられています |
| 依頼した方に金品を贈ると呼びかける | 職務基本規則第15条第2項で、金品の提供などの不当な行為により依頼を誘致することが禁じられています |
解決した事例を紹介する場合は、依頼者が特定されないように内容をぼかし、必要に応じて依頼者の同意を得ておくなど、秘密を守る義務に配慮しましょう。
※ ここで紹介したのは、行政書士法・行政書士法施行規則(e-Gov法令検索で2026年10月に確認)と、日本行政書士会連合会「行政書士職務基本規則」(令和8年7月15日施行の版)の原文で確認できた内容です。行政書士会ごとに独自の定めがある場合もあります。ホームページを公開する前に、所属する行政書士会で確認してください。制作を依頼する場合も、掲載する内容の最終確認は先生ご自身で行うのが安全です。
公開したあとの更新
ホームページは、公開したあとも内容を新しく保つことが大切です。特に次のような変化があったときは、すぐに直せるようにしておきましょう。
| 変わったとき | 直すところ |
|---|---|
| 報酬額を見直したとき | 料金のページ。事務所に掲示している報酬額表と内容をそろえます |
| 取扱業務を増やした・やめたとき | 取扱業務のページ、トップの業務一覧 |
| 法令や手続きが変わったとき | 業務の説明、必要な書類、期間の目安 |
| 受付時間・休業日・連絡先が変わったとき | トップ、お問い合わせ、お知らせ |
| 事務所を移転したとき | 事務所案内の所在地と地図、Googleマップの情報 |
報酬額や受付時間がホームページと実際で違っていると、相談する方を迷わせてしまいます。更新を自分で行うのか、依頼先に任せるのかは、作る前に決めておくと安心です。
もう一度、結論です。
行政書士のホームページには、事務所と先生の情報、業務ごとに分けた取扱業務、業務ごとの報酬額の目安、ご相談の流れ、お問い合わせ先を載せましょう。報酬額は、事務所での掲示が行政書士法で義務づけられ、インターネットでの公表は職務基本規則で努力するよう定められています。
書き方では、事実に合わない内容・誤解を招く内容・誇大な内容を避けることが基本です。公開の前に、所属する行政書士会の定めも確認しておきましょう。
この記事の内容を、士業のホームページ屋さんに任せた場合の料金
士業のホームページ屋さんにご依頼いただいた場合、この記事で取り上げた項目は、それぞれ次の料金でお引き受けしています。
| この記事の項目 | 任せた場合(税別) |
|---|---|
| ホームページの制作 | 1ページ:10,000円 6ページ:30,000円 8ページ以上(お問い合わせフォーム・業務ごとの詳しいページ・よくある質問など付き):50,000円 |
| 原稿 | 今のホームページや公開されている情報をもとに、下書きまでこちらで作ります。先生には内容の確認をお願いしています |
| 公開後の更新・サーバー | 月5,000円(サーバー・SSLの管理、動作の見守り・不具合への対応、文言の修正・お知らせの追加、アクセス解析のサポート込み。最低契約期間12ヶ月) |
| ドメイン | 接続設定:5,000円(初回のみ) 新規取得の代行:3,000円 ドメインの年額費用:実費(お客様名義でご契約) |
| 事務所のメールアドレス | 独自ドメインのメールアドレスの設定:5,000円(初回のみ) |
| Googleマップの情報の整備 | 10,000円(Googleビジネスプロフィールの初期設定) |
| 開業に合わせてまとめて | 開業・リニューアル一式セット:45,000円(6ページのホームページ+名刺+封筒+Googleマップ整備) |
たとえば6ページのホームページなら、制作費30,000円と、公開後は月5,000円です。報酬額の改定や受付時間の変更にともなう文言の修正は、月額の範囲でお受けします。着手金はなく、お支払いは翌月末です。
ご依頼の前に、先生の事務所の見本のホームページを無料でお作りしています。見本をご覧になってから、ご依頼いただくかどうかをお決めください。